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皮膚と耳について
皮膚病は奥深い
皮膚病の診断・治療は、どの獣医師も困難を感じながら仕事をしています。 アレルギー、内分泌(ホルモン疾患)、感染症などが複雑にからみあっている病気なので、診断までたどりつくまでが大変です。 また、それぞれの家庭の生活背景や家屋の構造、ライフスタイルまでも伺わないと、適切な対処ができないこともあります。 感染症だけの場合が治療しやすいかというと、たとえば皮膚糸状菌症や、毛包虫という寄生虫感染では、ほとほと手を焼くこともあります。
いっぱんに、こじれた皮膚病の治療をする場合、二次感染と呼ぶ細菌や真菌(カビ)の治療を先行させながら、根っこの病因を考えて行きます。 多くの場合、皮膚は掻いたりなめったりした影響で、「ブドウ球菌」という細菌の支配下にあります。 細菌の検出を行い、どのような薬が効くのかを感受性検査によって特定し、2週間ほどかけて二次感染を取り除いて行きます。
この二次感染を取り除くと、かなり症状が緩和してきますので、初発の皮膚炎の場合などではこれで治ってしまうこともあります。 しかし、こじれたケースでは、この間に副腎皮質や甲状腺の状態の検査や、アレルギー(アトピー)検査などを続けてゆきます。 どんな治療にたいして改善したかということも、大切なヒントになることがあります。
よくある誤解
ペットを連れてこられるお客様によくある誤解としては、「消毒」や「軟膏」で治ると考えることです。 細菌や真菌の二次感染は、毛包や毛根に起こっているもので、表面ではありません。 また、大量の被毛が邪魔をするので、消毒で二次感染が完治することはないのです。 また、軟膏やクリーム類も、毛を刈って塗布するのでなければ、毛に塗っているのと同じことです。 二次感染の原因菌を確定して、それに対する内服薬などの治療を続けることが重要です。
治りにくい皮膚病で、「食事が悪いのでしょうか?」とよく尋ねられますが、食事そのものが大きな原因になっていることはそう多くないものです。 一般的に、・生後6ヶ月以内に始まった皮膚炎は食事が原因であることが多く、・生後6ヶ月〜2歳で起こってくる皮膚炎は、アトピー病であることが多いと言われてます。 もちろん、粗悪な食事やおやつ類などが治りにくい原因を作りますので、「よい食事」を与えるのは基本中の基本です。
アトピー病について
北海道の家は、高気密・高断熱住宅が多くて、年中快適な室温です。 生き物に快適であるのは、ダニたちにも快適であるようで、北海道のペットたちはコナヒョウダニのアトピーが多いといわれます。 アトピーの検査には、大きく分けて(1)血液中のアレルギー抗体(IgE)を検出する血液検査と、(2)皮膚の一部に検査薬を注射して反応をしらべる皮内試験とがあります。 血液検査は採血の手間だけですみますが、反応のプラス・マイナスの基準をどこにとるかによって、多くの反応がですぎて何が最重要なのかがわからなくなることがあります。 ですから、診断的な意味では、血液検査よりも皮内試験が診断的には良い検査であると考えられています。 しかし、血液検査も皮内試験も、北海道の植生にあった植物因子が不足していることは大きな問題だと筆者は思っています。
アトピーの原因が確定すれば、(1)原因をとにかく避けること、(2)避けれらないものは減感作治療で免疫をつけてあげること、の治療が考えられます。 「コナヒョウダニ」や「ハウスダスト」のアトピーであれば、減感作治療も有効です。 しかし、植物が関与している場合、上記のように、北海道独特の植物が特定されにくいので、なかなか減感作も難しいのが現状だと思います。 また、どのようなアトピーであっても、厳冬期には悪化する傾向にありますが、これは暖房による室内湿度の低下や換気不足が原因ではないかと考えています(アトピー持ちの筆者も冬は辛い季節です)。
たかが耳、されど耳
まず「外耳炎はちゃんと治してあげよう」という決心が大事です。 なぜなら、耳の奥は家庭では見えないからです。見えない場所が炎症を起こしているのですから、「もうそろそろ限界だから治療をしてもらおう」という時には、通常の治療ができなくなっていることもあります。
アトピーが原因で外耳炎になっている場合、蒸れが原因となっている場合、いずれにしても、カット綿などで入り口を拭いても拭いても汚れが出てくる場合は、かなり症状が進んでいる可能性がありますので、動物病院へお向かいください。
耳に関しては、近日中にもう少し記載するつもりです。