(参考)
腹腔鏡手術の後の傷口です(大型犬)。
3ヶ所の傷は直径が約1センチです。
血管凝固装置で、7ミリまでの動脈を熱凝固させて止血・切断することができます。「糸で縛る」という従来の手術とまったく違う方法で卵巣を切断して取り出します。

小さな傷、小さな痛み

 メスのワンちゃんの避妊手術は、比較的広くお腹を開けなければならないため、手術を躊躇される飼主の方が多いのが事実です。当院では、2003年から腹腔鏡手術の準備をしてきました。そして、本年から避妊手術も腹腔鏡下で行うことが可能になりました。
 腹腔鏡を用いた避妊手術は、お腹を開けることがありません。高性能のスコープとカメラが捉えた映像をモニターで見ながら、コンパクトな器具を操作して手術を進めてゆきます。避妊手術の場合、3ヶ所の切開を加えますが、いずれも10〜15ミリ程度の切開をする程度です。傷が小さく済む分、痛みの程度も大幅に小さくなります。

とても安全性の高い手術です

 もちろん、傷を小さくするために安全性を犠牲にすることはできません。お腹を開ける手術では、血管や組織を縛ること(結紮)によって卵巣と子宮を摘出していました。腹腔鏡での手術は、専用の
器具を使って切断する部位を変性・凝固させてから摘出します。また、お腹を開ける手術と違って、卵巣や子宮の血管に強いストレスが加わりにくく、お腹を開けるのと同一かそれ以上の安全性がある手術と言って良いでしょう。

腹腔鏡が使えない場合があります

 この手術ができない場合もあります。たとえば、呼吸器の病気をかかえているワンちゃんは、お腹の中に気体を満たしたときに、うまくガス交換ができなくなる場合があります。
 また、子宮水腫や子宮蓄膿症の場合は、お腹を開いて行うほうが安全性が高いと思われます。ただしこのような病気は、腹腔鏡で観察して、初めて判明することが多いものです。そのような時は開腹手術に切り替えることになります。

陰睾の去勢手術も、日帰りです

 オスのワンちゃんで、精巣が陰のうに降りず、お腹の中に留まっている場合があります(陰睾)。いままで、この手術を行う場合も、お腹を開けるしかありませんでしたが、腹腔鏡を用いることで非常にシンプルな手術となりました。オスにお腹を開ける手術をするととても痛みが強くかわいそうでしたが、日帰り手術が可能です。

事前に必要な検診があります

 腹腔鏡下での避妊手術をご希望の場合は、術前に必ず身体検査と血液検査(生化学検査・凝固検査)を受けていただきます。全身麻酔が問題なくできるかどうか、あるいは腹腔鏡手術での合併症が起きる可能性がないかどうかを、あらかじめ知る必要があるからです。
 私たちは、これからも「より安全な手術を、より痛みなく」行えるよう努力してまいります。ご不明な点は、当院のスタッフにお気軽にお尋ねください。
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オスの陰睾の手術では、手術そのものは単純でも、お腹を開くことで辛い手術になっていました。腹腔鏡では、二つの傷口で済むきわめてシンプルな手術になります。