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犬猫の歯周病は予防できます

 犬や猫の歯は、人間の歯と違って「すりつぶす」ことを主要な役割とはしていません。 ですから、歯が存在しなくなっても、入れ歯などの必要性は低いと考えられます。 でも、歯の周りの組織はどうでしょうか?

 歯周組織(歯槽骨・歯根膜・歯肉・口腔粘膜)は、びっくりするほど血流量の多い組織です。 皆さんも口の中をやけどしたり、ちょっと傷つけてしまった時、翌日にはほとんど良くなっていることは、経験したことがあると思います。 血流量が多いということは、組織の修復力が強いということです。 このような場所に、歯石の付着や歯槽膿漏が起こっていたら、毛細血管に向かっていつも大量の病原体が侵入しているということです。 体は、免疫システムの多くを、これらの病原体との闘いに振り向けます。 しかし、バリアをすり抜けた病原体は、免疫複合体として、腎臓や心内膜に沈着することがあります。

 「歯槽膿漏は、心不全につながる」ことと「歯槽膿漏は腎炎や腎不全につながる」ことは医学的に明らかになっています(もちろん、これだけが要因ではありません)。 また、東洋医学的にも歯と腎臓は影響を与え合う存在と考えられています。 食べ物の入り口でもある歯。 私たちが「歯の健康」と強調するのは、歯は体のバランスを保つための大きな存在だからです。

 さて、どのような原因が歯と歯周の病気を起こすのでしょうか。 一つは生まれつきの組織の強靭さです。 子犬の時期に発熱性疾患を起こした犬では、歯の表面のエナメル質に凸凹が見られる病気(エナメル質形成不全症)があります。 エナメル質の覆いがなければ、ざらざらした象牙質から細菌が入り込んで、犬には珍しい「虫歯」を作る原因になります。 大人になってからでは、食事の質や硬さもありますが、歯垢→歯石が歯の付け根に侵食してゆき、歯肉を溶かしてゆくことが、歯周病の原因になってゆきます。 定期的な動物病院でのクリーニングと、飼い主によるホームケアが歯と歯周を守る方法です。

 先日、ある使役犬のラブラドールが、歯の治療にやってきました。 7歳にしては、もう歯周がぼろぼろで、大きな歯も残せるかどうかわからない状況でした。 麻酔後によく診察してみると、上の顎の歯の左右の幅が、下の歯の左右の幅にくらべて、やや細いのです。 そうすると、本当は上下の歯はぶつからなくてすむのに、口を閉じるためにガチガチとぶつかってしまい、ぶつかる衝撃で歯周組織に強いストレスがかかってしまったようなのです。 永久歯が生える時期にある程度、矯正治療を行っていればここまで悪くならなかっただろうと可哀想でした。 ガムが大好物なので、なるべく片側の歯列だけは保存できるように治療中です。


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